大新生殖中心|卵子提供・着床前診断

卵子提供

生活環境の変化や晩婚化に伴い、不妊治療を受ける女性は近年ますます増えています。
卵子提供については、日本ではどうしても情報が限られているため、ここではなるべく詳しく説明したいと思います。

卵子提供とは、奥様ご自身の卵子の代わりに、他の女性(卵子提供ドナー)から卵子の提供を受けて体外受精を行う不妊治療のことをいいます。
ご自身の卵子ではなく、他の方の卵子を使うということが通常の体外受精との違いとなり、それ以降の流れは一般の体外受精と同じとなっています。
提供を受けた卵子はご主人の精子と体外受精をさせ、胚の培養をしていきます。そして、育った胚盤胞を奥様の子宮に移植し、着床、妊娠を待ちます。
広く知られているものに血液ドナーや骨髄ドナーというものがあるように、ご自身の卵子での妊娠が難しい方へは、ドナーによる卵子提供という仕組みがあります。

卵子と老化の関係

不妊治療の年齢別の出産率

年齢とともに下がる出産率

この図では、体外受精をして出産ができる確率を示しています。
不妊治療をしても出産できる確率は、年齢によってどうしても下がってきてしまい、40歳では8.1%45歳では0.7%となっています。

年齢とともに低下していくのにはさまざま原因がありますが、卵子の老化が最も大きなものとなっています。
特に、年齢を重ねると卵子の染色体異常となる可能性が高くなります。卵子の染色体異常があると着床が出来なかったり、流産に繋がってしまうのです。そのため年齢が高くなるほどに、卵子も老化していき、妊娠・出産できる確率が下がっていってしまうのです。

卵子提供が必要となる可能性のある方

■過去の不妊治療で妊娠せず、ご自分の卵子での妊娠が困難になった方
■卵巣機能不全のある方
■卵巣嚢腫などにより卵巣の摘出をおこなった方
■多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)で長く治療を続けてきた方
■排卵障害のある方
■高齢妊娠を望む方
■早発閉経の方 など

生まれてくる子どもは実の子

出産した女性が実の母として認められていますので、卵子提供を受けて生まれてくる赤ちゃんは戸籍上もご夫婦の実子として認められています。
日本では卵子提供がまだあまり広く知られていないため、代理出産と認識されることもあるのですが、それとは異なり、卵子提供ドナーの方の卵子を胚盤胞まで育てて移植をし、お腹の中で育てるのは奥様ご本人です。

卵子提供という選択肢

卵子提供は奥様ご自身の卵子ではなく、ドナーの方が提供された卵子を使うものです。
生まれてくる子どものこと、遺伝子的には両親の50%、奥様の遺伝子を受け継がない子どもを生涯愛情をもっていられるか、十分に検討をされる必要があります。
ご自身の卵子で妊娠が難しい場合の手段として、卵子提供を選ぶ方は年々増えてきています。ご自身のお腹の中で育てた子どもを産む喜び、育てる喜びは何事にも変えられないものがあります。
そして、これまで辛く、長く続いてきた不妊治療は肉体的、精神的、金銭的にも大きな負担を与えます。
母親になりたいと諦めずに持ち続けることが、その夢を叶えます。そのための方法として、ご夫婦で話し合い、卵子提供を1つの方法として考えてみると良いでしょう。

日本の不妊治療事情

不妊治療大国の日本

不妊治療_凍結胚の移植件数

不妊治療病院数、移植件数ともに世界一

実は、日本は世界で一番多くの不妊治療が行われている国でもあります。
2017年時点で不妊治療の病院数は、人口が2.5倍以上のアメリカの441に対して日本は625となっており、世界で最も多くの不妊治療関連の病院があります。
凍結胚を使用した移植件数も世界で最も多くなっています。

国ごとの体外受精の成功率

不妊治療_採卵1回あたりの妊娠率

採卵1回あたりの低い成功率

2016年には国際生殖補助医療監視委員会(ICMART)が、2010年時点での世界各国の不妊治療に関する調査結果を発表しました。
こちらのグラフでは、主要国のデータを整理したものを示しています。
一概には各国の治療を比較はできないのですが、ご覧の通り、1回あたりの採卵での妊娠率、出生率は先進国の中で最も低くなっています。

日本での卵子提供の状況

日本は不妊で悩む方は世界で最も多い一方、卵子提供を受けることは難しい国でもあります。
アメリカやヨーロッパなどではなかなか子どもを授かることの出来ないご夫婦が、卵子提供を選択することは以前から行われてきたものでした。
卵子提供は海外では広く知られているものではありますが、これまで日本での認知度は決して高くはありませんでした。
最近では国会議員の野田聖子さんが海外で卵子提供を受けられたこともあり、日本の中でも認知がだんだんと広がってきています。
本来は海外に行かなくとも自分の国で受けられれば精神的にも経済的にも負担が減るのですが、現在日本では卵子提供を受けることは大変難しいのが現状です。
以下では、台湾の卵子提供の仕組みをご説明します。

台湾の卵子提供

台湾では法律による卵子提供の管理を行うことで、安全を意識した運用がされています。

人工生殖法による政府管理の元で運用

台湾では2007年に人工生殖法という法律が制定されました。
これによって、人工生殖法では卵子ドナーになれる方を厳格に規定し、政府管理の元で安全に卵子提供を受けることが可能となっています。
台湾の国民健康福祉局が発表した統計では、2016年には台湾では延べ2,146人が卵子提供を受け、そのうちおよそ半数の1,060人が台湾以外の国からの方となっています。
こうした仕組みによって、台湾で卵子提供を受ける方が年々増えています。
2014年の時点では台湾以外の国の人が延べ208人であったことから、台湾で卵子提供を受ける方が増え、3年間で約5倍へと増えました。

卵子提供ドナーの仕組み

人工生殖法ではドナーの基準を厳格に定めており、希望する方全てがドナーになれるのではなく、十分な検査を行った後に卵子提供ドナーの方を決めています。
台湾ではドナー自身の子ども以外には、卵子提供をできるのは1回と決められており、1人のドナーが異なる夫婦に卵子を提供することを禁止しています。
また、卵子提供ドナーには年齢制限を設け、遺伝性疾患がないことや感染症などの検査を行います。その上で国民健康福祉局による審査を行い、問題がない場合にのみドナー登録されるという仕組みになっています。
一方同時に、ドナーの方の個人情報も厳格に保護されており、ドナーの顔写真を見たり、実際に会うということはできません。
卵子提供を受ける方は以下の情報だけを指定し、その後には不妊治療クリニックによるドナーの選定が行われます。
選択できるのは、人種、皮膚の色、血液型、一重まぶたか二重まぶたか、基本的にはこれらの情報のみとなります。

台湾では人工生殖法の規定の中で運用されているため、政府として安全な仕組みで管理をしている一方、卵子提供ドナーの選択には制限があります。
一方、アメリカやタイではドナーのプロフィールを見ながら選択することができるクリニックもあります。ただし国による運営ではないため、それぞれの方のご希望や条件によって、どこで卵子提供を受けるかは変わってきます。
そのため、ご自身に最も合う国を選び、卵子提供を受けるのが最も良いでしょう。

台湾タイアメリカ
運営国営私営私営
ドナーの卵子提供の制限【制限あり】自分の子供以外には一人だけ制限なし制限なし
ドナーの選択方法病院側で可能な限り希望に合うように選択カタログからご自身で選択カタログからご自身で選択
費用160〜250万円200〜300万円500〜800万円